ひろしとK課長の五段活用

ひろしと渚にまつわるエトセトラ

 

ひろしです。

今日も今日とて奥様がソファで寝ている間に起こさぬよう床にモップを掛けております。愛想のない愛猫の萌ちゃんの毛をひろしの心の友のロボット掃除機君が愚痴も言わず掻き集めてくれております。

過酷な労働を強いてしまったため、ロボット君お休みを取って充電期間に入っております。不甲斐ないひろしの家に来てしまったため、こんな重労働をさせてしまったかと思うと涙が頬を伝います。ああ女工哀史。。

 

さてひろしがいましたの会社は祇園精舎の鐘の声よろしく、すでに更地と化しておるわけですが二十数年も勤めていたとなると、それなりに思い出も愛着も有る次第。。その中でも特にK課長については強烈な印象が残っております。

彼はとある大手より中途で入社して来た大変優秀な逸材でございまして、なんでこんな優秀な人材がこんなへんな会社に入ってきたものかとひろしも不思議に思った次第。。ニコラスケイジにそっくりで渋い男なのですが髪の毛の薄いところまでそっくりで、髪の薄い者同士、すぐにひろしと意気投合する間柄になったわけです。まさに髪は長い友達。。

まあ正直本物のニコラス・ケイジ氏はイケメンなのでしょうが日本人でニコラス君に似ているとなるとやや微妙な感じになるのはお察しのとおり。ただ奥様からは非常に愛されておられたようで残業も深夜2時を過ぎると会社の表まで、お迎えにお見えになっていた事もございました。蓼食う虫も好きずきとは良くぞ申したものです。

さて、ひろしのいた会社は当時業績が余り思わしくなく、社運を掛けての業務改善に取り組んでおりました。聞けばK課長はその改善の全権責任者として採用されたとか。ところで全権責任者として彼を採用したのであれば彼に任せておけばいいものを、心配した社長が社外から週2回コンサルトタントの先生も招聘致しました。

週2回で有ればまあ。。と思われるでしょうが実は違う先生を週1回ずつ、合計2回お呼び申し上げた次第。。片方の先生は「〇ヨタカンバン方式」のエキスパート、もう一方は「キ〇ノン・セル生産方式」のエキスパートです。

製造業で働かれておられる方には、なんじゃそりゃ!?の世界でございましょうが簡単に説明させて頂きますと片やベルトコンベアラインで如何に生産効率・品質を改善するかの方法論、片や如何に一人の作業員が最初から最後まで組み上げるかと言う、全くトムとジェリーのように相性の悪いシステムでございます。

ひろしが改善の担当者であればなんじゃそりゃ!とキレるところでございますが、あいにく責任感の強いK課長はなんとかして両方の良い所を活かそうと獅子奮迅の戦闘を開始致しました。

ひろしも既に親友を通り越して戦友となっているK課長を全力で支援いたしますが、あいにく部門間の壁が立ちはだかります。ひろしは当時、品質保証部門の責任者でございましたが、なにせお出でになられているコンサルタントの先生は両方とも優秀、さらに既に定年退職されておられる方でお察しの通り頑固者でございます。

かくして火曜日にはこの方式での改善、木曜日には180度反対の改善方式が激突する地獄の黙示録の日々が始まった次第。K課長が無能であればさっさとダメになった事でしょうが、あいにく彼は逸材で有り、優秀であきらめる事を知らぬ傑物。奮闘すればするほど事態が混乱して行くと言う次第。

事態の混乱は製品の品質を直撃致します。戦友であるからして助けぬわけにもいかぬ、さりとてお客様へ不良品を届けるわけにもいかぬと言う事で、2つの改善方式をハイブリットでまとめようと苦労して、そろそろ半分切れかかって却って喜々としてあらゆる改善活動に暴走するK課長をひろしが追っかけまわして取り押さえる状況と相成りました。

 

「Kさん見なかった?」⇒一段活用、ちょっとした問題発生。。まだシャレで済んでいる状況。。

K課長見なかった?」⇒二段活用、ひろし、わりとマジな状況。

くりりん知らない?」⇒三段活用、ひろしもかなりハイになってる状況。

モンブラン見なかった??」⇒四段活用、お客様もそうとう怒ってる状況。

 

 

 

 

 

 

マロンのやろう!どこ行きやがった!!」⇒フリーザ様最終進化形態。。関係者全員ハイになってる状況。。

 

かくして数年後、平家物語をつまびく琵琶の音が奏でるかの如く諸行無常の結末と相成ったわけですが昨年、久しぶりにKさんと会うことができ、当時の苦労話に花を咲かせた次第。。

今は穏やかな顔で普通の仕事をこなされており、ひろしも島流しの身とは言え、好きなカメラや卓球を楽しむ事ができている事を考えますと、あの会社が更地になってくれたのも一つの縁と申しましょうか。。

ただ当時ひろしの部下であった皆様に毎日夜中の3時まで苦労をかけっぱなしにしてしまった事には今更ながら一言お詫び申し上げたい次第です。。 生きててすみません。。( ;∀;)